映画「舟を編む」のあらすじや感想を紹介!人の生きざまを温かく描くヒューマンドラマ

辞書作りに終わりなし!辞書編集に情熱捧げる者たちの、静かながらとてつもなく熱い思いを描いたヒューマンドラマ。

今すぐ辞書を手に取り、日本語の美しさと広がりと奥深さを噛み締めよう!

映画「舟を編む」のあらすじ

1995年、舞台は出版社・玄武書房。大学院で言語学を専攻し、玄武書房の営業部に所属する馬締光也は、不器用でコミュニケーション能力ゼロ、営業部では戦力にならず変人扱いされていた。

そのころ辞書編集部では、「大渡海(だいとかい)」という新しい辞書作りを目前に控え、ベテラン編集者の荒木が定年退職を迎えようとしていた。

人並み外れた言葉のセンスを持つ馬締は、荒木にスカウトされ、辞書編集部に異動する。

個性的な編集部のメンバーや、辞書作りという独特の仕事に戸惑いつつも、「今を生きる辞書を作る」という監修者の思いに心を打たれた馬締は、やがて辞書編集という仕事にのめり込んでいく。

人付き合いが苦手で悩んでいた馬締であったが、辞書作りは1人ではできないということも悟り、徐々に編集部のメンバーとも馴染んでいく。

ある日、馬締の下宿先に、大家の孫である香具矢という女性が現れ、馬締は仕事が手につかないほどの恋に落ちてしまう。

編集部員たちのからかいと励ましもあり、馬締は香具矢に“恋文”を書いて、想いを伝えることに。そんな折、「大渡海」の発売中止の知らせが編集部のもとに飛び込んでくる。

「大渡海」は無事完成するのか。そして、馬締の恋は成就するのか…。

映画「舟を編む」の感想レビュー

オススメ度:8/10 辞書編集という仕事にスポットをあて、さまざまな人の生きざまを温かく描く

本作は派手な展開もなく、一見すれば地味に淡々と話が進んでいく。緩急激しい作品が好みの人はスルーしてしまうかもしれない。

しかし、一般には馴染みの薄い辞書作りという仕事にスポットをあて、その魅力を惜しみなく表現している。

言葉は海で、人は辞書という舟に乗り、海をわたっていくのだという。それがタイトルの意味でもある。

そして、辞書作りに関わる人々の人生を実に10年以上にわたって描いている。ある人たちは新たな家族を築き、ある人はこの世を去る。さまざまなドラマが詰め込まれた超大作なのだ。

この作品を見ると、紙の辞書を手に取って、掲載されている一語一語の意味を丁寧に味わいたくなる、実に不思議な力を持つ作品である。

究極のお仕事ムービーであり、人間ドラマであり、ひそやかな恋愛ドラマでもある。言葉の魅力を知らしめる紹介動画のような一面もある。

いろんな要素を持ち合わせ、さまざまな角度から何度も見直したくなる、実に味わい深い映画だ。

個性あふれる愛すべきキャラクターと、ちりばめられたユーモア

この映画で注目したいのは、主人公の馬締をはじめとする強烈な個性を放つキャラクターたちだ。

馬締は名前のとおり「真面目」すぎて対人スキルはゼロ。なぜ営業部に配属されたのかがまず謎だ。不器用すぎる彼を見ていると、モヤモヤしたり、応援したくなったり、涙したり、さまざまな感情が呼び起こされる。

辞書監修者の松本は、言葉への愛が強すぎるがゆえ、合コンに参加して「チョベリグ」「コギャル」などの言葉を仕入れ、「実に有意義な時間でした」とご満悦だ。凡人にはちょっと理解しがたい領域の喜びをご存知らしい。

静かなる変わり者たちばかりが集う辞書編集部のメンバーと、彼らを取り巻く仲間たちが、いつ何をしでかすのか、片時も目が離せない。

辞書編纂という仕事の魅力

新しい辞書を一から作るには、20年以上の歳月を要することもあるという。

まさに気の遠くなるような作業だが、全員で一つのものを作る喜びが、映画全編からとめどなくあふれてくる。これほどまでに自分の仕事を愛せる人たちが羨ましくてたまらない。

辞書や書籍に関わらず、ものづくりに興味がある人ならば、きっと共感ポイントがあるはずだ。そして辞書が完成した時から、編集メンバーは新しい言葉を探し、次の編集を見据えている。

言葉は日々変化する生き物で、辞書作りに終わりはないということがよくわかる。この映画の中には、生涯をかけて行う「天職」があるのだ。

馬締の恋

本作は恋愛要素はやや薄めだが、馬締の恋は大きなポイントを占めている。恋を実らせた馬締は、辞書に載せる「恋」の語釈(言葉の意味)を書くのだが、これが秀逸なのだ。

感情が顔に出にくい馬締が、恋が実った時にどれほど嬉しかったのか、この語釈からひしひしと伝わってくる。自分の恋もこんなに純粋だっただろうか…と思わず振り返ってしまうほどだ。

一体どんな語釈を書いたのか?それは本作を見て確かめてほしい。

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まとめ

仕事に疲れたとき、恋に悩んだとき、人間関係がうまくいかないとき。「どうしてあんなこと言ってしまったんだろう」「どうしてうまく説明できないんだろう」「どんな言葉をかければいいんだろう」

そんなふうに悩んだときは、ぜひこの映画を見てほしい。映画の中で、色んなタイプの不器用な人々が、自分の中の信じるものを頼りに、言葉を携えながら、前に進んでいる。

きっとあなたも、明日は自分なりの言葉で相手に思いを伝えてみようと思うはずだ。

監督…石井裕也

キャスト
馬締光也…松田龍平
林香具矢…宮﨑あおい
荒木公平…小林薫
西岡正志…オダギリジョー
岸辺みどり…黒木華
松本朋佑…加藤剛

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